今日は、消費税の話。
消費税についての疑問でよく聞くことがあるのが、
「決算は赤字なのに、どうして消費税はこんなにかかるの?」
決算が赤字であれば、個人であれ、法人であれ、ほぼ税金はかからないことになります。
一方で、消費税。消費税は、事業で赤字が出ていても、結構な金額の納付が生ずるケースが多いです。こうした背景もあって、そのような疑問が噴出するというわけです。
今回は、そんな消費税がどうして、赤字の年にもかかってくるのか、解説していきましょう。
消費税は、利益を計算ベースとはしていない税金だ
まずは、でかでかと。
消費税は、利益を計算のベースとはしていない税金である。
というのも、一般的に税金がかかるイメージというのは、
「儲かっているいる者が払うもの、それが税金」となっているからである。
だから、決算で事業が赤字であれば、所得税や法人税はかからない。(ほぼ)
よって、消費税もかからないと思われているフシはある。
ところが、すでに示したように、消費税は利益とは何の関係もない税金なのである。
ある程度の規模で、相当赤字である場合を除いては、基本的に赤字でも、もちろん黒字でも消費税はかかってくるものと思っていた方が良い。
はじめにタネを明かしてしまうと、消費税の計算は、こうして行う。
売上などでもらった消費税 - 仕入や経費で支払った消費税 = 納める消費税
売上でもらった消費税とは、売上の際にもらったお金のうち、消費税相当部分(現在は8%)のことを示している。
税込み売上が10,800であれば、内に800円が含まれていて、800円部分が消費税である。
ある経費の支払いで税込み5,400円を支払ったのであれば、内400円が含まれていて、それが消費税である。
これを算式に埋め込むと、
800円 - 400円 = 400円
もらった消費税から払った消費税を引いた残りが、最終的に負担する税金となる。
実際は、もう少し難しい計算構造となっていて、こんなにシンプルではないが、ざっくり説明するならこの限りである。
そして、ここからは、この問題についてさらに突っ込んで解説していきたい。
決算赤字なのに消費税の納付が生ずるケースはコレだ
赤字でも消費税はかかる、なぜなら消費税は利益とは何の関係もなく計算される。
これを受けて、もしかしたら何かを思ったという方がいるんじゃないかなと思います。
「赤字ってことは、払う消費税も多いから、消費税もマイナスなんじゃないの?」と。
このクエスチョン、相当いいセンいっています。消費税のことがわかってきたようですね。
しかしながら、赤字決算の場合でも、もらう消費税のほうが払う消費税よりも大きいことが多いのです。
赤字決算の会社の決算書のうち、売上総利益(粗利)は黒字で、営業利益が赤字であるケースが多いです。
数字を例に出すと、こういうケースが考えられます。
決算赤字なのに、消費税がかかる損益パターン
以下の決算書の内容で赤字がでている場合、赤字でも消費税がかかってきてしまいます。
・売上 2160万円
・仕入(期末在庫ゼロ) 1080万円
・役員報酬 500万円
・従業員給与 300万円
・家賃 324万円
(経費合計 2204万円)
差引 2160万円 - 2204万円 = -44万円
このケースの場合、決算では、44万円の赤字になっています。
数字を見てみると、売上と仕入だけの損益で見た場合、粗利は確保できています。(2160 -1080)
家賃は定額で固定費とすると、赤字の原因は役員報酬と従業員給与にあると見えます。
実は、報酬や給与で決算が赤字となることこそ、赤字なのに消費税の納付が生ずる原因の一例と言えます。
では、この赤字決算の消費税はいくらとなるでしょうか?
・受けた消費税
売上の分 160万円
・払った消費税
仕入金額 80万円
家賃 24万円
(合計 104万円)
・差引で納付する消費税
160万円 - 104万円 = 56万円
計算してみると、決算は赤字なのに、消費税は56万円も払わなくてはいけません。
仕入でモノを買ったり、事務所の家賃を支払う際には、通常は消費税がかかってくるものですが、役員報酬や従業員給与は、支払ったとしても消費税は関係ありません。給与には、消費税はかからないからです。
だからこそ、役員報酬や給与で決算が赤字になる場合、それらは経費にはなっても、消費税の支払を含まない。
よって、赤字なのに消費税の納付は結構生ずるという結果を引き起こすというわけなのです。
赤字なのに消費税。まとめ
というわけで、
「決算は赤字なのに、どうして消費税はこんなにかかるの?」
という疑問に対して、突っ込んで書いてみました。
最後にまとめると、
・決算は赤字でも消費税はかかる
・利益の計算と納付消費税の計算は、そもそも関係がない
・決算赤字が給与の支払が原因であるケースは、このパターンになりやすい
ということになります。
なんとなくでも分かってもらえたでしょうか。
今回の消費税のような話を含め、税金や経理について漠然とした疑問、普通だったら税理士に聞きにくいようなことまで、出来る限り知ってもらいたいと思っています。
聞いても良いかな?聞いたら怒られるなんてもっての他です。
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